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本専攻について

本専攻発足の経緯

1990年代の日本の産業界では、「豊富な技術資産を持ちながら、それらを組み上げるグランドデザインや戦略、すなわち適正にこれらをマネジメントし価値に結び付ける能力に難がある」との議論が繰り返されるようになり、2000年頃には本学大学院工学系研究科においても「このためには、マネジメント系の教育研究を行なう専攻を研究科内に置くべきではないか」との声が上がり始めていた。国際化が進み、不確実さや影響要因が多様にかかわりあう環境の中で、日本の戦略性のあるマネジメントの必要性がより明確に求められるという時代背景があった。 こういった動きの中から、2001年には研究科長や評議員、今後技術経営の教育研究に携わるであろう教授や関係する事務方責任者などによる公式の話し合いが始められ、2003年4月には「テクノロジー・マネジメント・コース」試行プログラムがスタート、さらに2004年には新専攻設立に向けた運営委員会が始動し、同年の8月には新専攻設立に実質的ゴーサインが出された。 具体的な専攻内容についての論議はその後も重ねられ、特に、企業経営における技術活用や技術の視点で企業経営を論じるような狭い意味での技術経営から脱却し、「国家・社会における技術の価値、さらには社会や産業発展における技術の活用や価値発揚の在り方を論じる」ことを意識して新たな学問の地平を切り開く、という思いを込めた「技術経営戦略学」という位置づけとその名称が決定されたものである。すなわち、研究開発と生産・経営を戦略的に統合した事業展開を図れる産業人材だけでなく、科学技術を中核に含んだ新たな経済政策体系や社会システム構築をリードでいる政治・行政側の人材、さらには世界の研究開発レベルを見据えた総合力ある研究推進のできる研究人材の育成をも見据えたのが、技術経営戦略学、との位置づけである。この思想を踏まえた教育カリキュラムの設計、さらには産業界からの声も直接に取り入れるなどの努力を重ねた結果を踏まえて、2006年4月に本専攻が発足した。

沿革

2006年4月に発足して第一期生を迎え入れた本専攻は、その後、国際技術経営コースによる国際化、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」教育・研究ユニット(STIG)への参加による技術と政策の関係性、社会構想マネジメントを先導するグローバルリーダー養成プログラム(GSDM)による社会マネジメントとの関係性、さらにはグローバル消費インテリジェンス寄附講座開設(GCI)による消費者行動に特化した工学の活用、といった視点を強化する活動を重ねてきた。このように、「高度の専門知識と経済と社会の双方を見渡した、戦略的構想力と行動力」を有する人材育成を目指す視点を常に踏まえつつ、さまざまな周辺活動との連携の下で、教育内容の整備、研究の充実などを、推進してきている。
さらに、五神総長の主導の下で2015年に発表された「東京大学ビジョン2020 」においては、次の70年間の人類社会と日本を主導しそのシナリオを描き行動する重要性を踏まえて、卓越性と多様性の相互連環による「知の協創の世界拠点」となる方向性が示された。この中で示された、研究、教育、社会連携、及び大学運営に関するビジョンはいずれも、まさに本専攻が工学を目指す方向に合致したものであり、本専攻の教育・研究のこれからの10年に向けて、さらなる環境整備が得られている。

表:技術経営戦略学専攻設立からの主な動き
  • 2003~2005年(設立前の技術経営(Management Of Technology)教育試行)
  • 2006年 4月技術経営戦略学専攻の設立・第1期生入学
  • 2010年 10月本専攻の「国際技術経営コース」[1]への学生入学開始。
  • 2011年「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」教育・研究ユニット (STIG:Science, Technology, and Innovation Governanceプロジェクト)」[2] が発足。本専攻も参加。
  • 2013年「レジリエンス工学横断型教育プログラム」の開始[3]。本専攻も参加。
  • 2013年 10月「社会構想マネジメントを先導するグローバルリーダー養成プログラム (GSDM)」[4] の発足。本専攻も参加。
  • 2014年グローバル消費インテリジェンス寄附講座 (GCI)[5]を本専攻内に開設。
  • [1] 文部科学省「グローバル30構想プログラム」の一つとして設立された、工学系研究科の英語学位コース。
  • [2] 文部科学省「科学技術イノベーション政策における“政策のための科学”」推進事業の一つ。本学は「基盤的研究・人材育成拠点」として参画。公共政策大学院、工学系研究科を中心に、法学政治学、経済学、医学系、情報学環などの各分野研究者と実務家の協働プラットフォーム構築、学部横断型教育プログラムの実施によってこれからの社会を先導することのできる科学技術イノベーションガバナンスの担い手を育成する。
  • [3] 東京大学大学院工学系研究科における初の専攻横断型教育プログラム。工学系複数専攻が協力し、領域横断的なレジリエンス工学の専門知識と俯瞰的視野を修得し、様々な分野で活躍できる人材の育成を目指す。
  • [4] 文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」事業の一つとして、東京大学の9研究科・21専攻が参加し、グローバル社会を牽引するトップリーダーとなるオールラウンド型の人材育成を目指す、文理統合型の学位プログラム。
  • [5] 経済産業省及びデータ収集分析に関わる企業が主体となり、消費インテリジェンス(データ分析を通じて消費者を総合的に理解する能力)の研究と人材育成のために技術経営戦略学専攻内に開設。外部企業との産学連携の中でビジネスへの応用・実践を行いリアルなテーマでの企業課題の研究・開発を推進。